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2014年5月16日 (金)

飢えるということ

「少年Hと少年A」という本を読んだ。 「少年H」はもちろん妹尾河童さん。
「少年A」は野坂昭如氏。 二人の往復書簡の形式で成る一冊の本。 二人の
共通項は同い年、神戸で少年期を過ごしたこと。 ただ同じ神戸といっても全く別の
地域で、空襲で焼け野原を体験していても時期も違うし、地域差もあり隣近所との
付き合い方も全く違うので、それぞれの戦争とのかかわりも違う。

「少年H」ほど”戦争”を身近に感じさせてくれた本は無かった。 ”少年”の見た戦争
全く少年そのものの目で綴られた本で、今回この往復書簡で河童さんがそれを
語っていた。 私が感じたようにやはり少年だった当時の記憶をそれが正しいもの
だったか多数の同級生に確かめながら書いたということだ。 

一方野坂氏の強烈な体験は”飢え”。 氏はこう綴る: お腹が空いた時食べ物が
”ある”のと”無い”のとでは全く違う。 ”無い”ことの恐怖が沁みついているから
つい今でも列車に乗った時など駅弁をいくつも買い込んでしまう、と言う。 そして
氏はずっと「もう二度と飢えた子どもたちを見たくない」と言い続けている。

「少年H」は声高に戦争反対を言っているわけでは無い。 しかし「二度と体験
したくないこと」が強烈に伝わる。 その場にいるかのような臨場感がある。
劇場美術に長く携わった経験からだろうか。 河童さんの「覗き」シリーズも見事
なシリーズで他のどの本を読んでも得られない目の付け所に毎回感心させられる。
河童さん自身は飢えたというほどではなかったらしい。 私と同じ”食いしん坊”
で食べ物のはなしも無類におもしろい。

空腹の時に食べ物が「無い」、これは想像できる。 とは言っても甘い甘い想像で
以前書いた北朝鮮の本の主人公の常に空腹、という状態は想像を絶するもので
よく見聞きする戦争中はこれの連続。 どの人もお腹が空いていたというはなし。
やはり体験したくはない。

  

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